金剛番長14@週刊少年サンデー0810

 ごめんよミルコ……

 なるほど、奴こそが縮んだ生駒(相撲)……いや、正直先週といい今週といい「完璧(パーフェクト)!」と唸るしかない。なんにせよこんな早い段階で他番長同士のつぶし合いが起こり、また噛み合わせ的に対極な組み合わせを持ち込んだところを見ると「23区計画」についてはそれほど長く話を引っ張るつもりはない印象を受ける。卑怯倒した辺りで、ガッシュで言うなら「おめでとう! 魔物は残り十人となった」みたいな展開になってもおかしくはなさそうな気がする。ってことはイコール黒幕の登場。

 先週の感想でも書いたことだが、金剛番長という漫画において「ツッコミどころ」を提示することは、つまり読者の「ツッコミどころ」についての修練を積ませることに通じる。トンデモが売りになるこの漫画ではあるものの、どこまでもトンデモを貫き通すのは、例えば「魁! 男塾」という前例を示した実績のある宮下ならば「暁! 男塾」での提示を許されるのだろうが、残念ながら前例があるとは言い切れない鈴木央に許されるものではないだろう(現在、一般書籍とは違って漫画誌の実売の展開においては、魁! 男塾が存在した過日とは違い、ネットというカスタマーズオピニオンが非常に大きな幅を取っているように思うので)。対・念仏戦のキリストのくだりを引き合いに出してみれば「ツッコミどころの準備」と言うのが“作者”(この言葉には担当編集の意図も含む)側に課せられた使命であるかのような要素が伺えるわけわけで(更に穿ってみれば「ガッシュに続くアツい長編連載の中継ぎをしてください!」というとてもイヤなオトナな事情の裏読みもできなくはないのだが)、ともなればこの漫画は長期連載にふさわしくない漫画なんじゃないか、とは厭でも考えてしまう。

 厳しい意見を言ってしまえば、この金剛番長が示す作品スタイルというのは「ほっとくとどこまでも主人公マンセーになる」鈴木央がある意味では手癖で示すことの出来る作品であり、だらだらと長く続けることは作者の今後のためにも良くないんじゃないか、という風に思うのだな。その辺とオトナの事情とやらがどう噛み合ってくかが、23区計画の先をやるかどうかに現れるんじゃなかろうか。いち鈴木央ファンとしては、23区計画だけで作品が終わることを望む。