平手将之「新世界より!!」

http://www.comicpark.net/sunday/(まんカレ2006年6月期 努力賞受賞作)

 総評としては「ものすごいノリ」ってとこですかねぇ。ハルヒという偉大なる先達(それ以前にも連綿とした流れはあるのだが、わかりやすさ重視で直近のビッグネームのみをあげた)の存在あらばこそな作品と言うように受け取れなくもないが、この破天荒さは嫌いじゃない。まぁ何が破天荒かって、成人式迎えてもうン年経つ子からしてみると愛の告白なんぞよりよっぽど「今日、料理食べに家に行っていい?」のほうが告白レベルとしては圧倒的に高いと思う、みたいな辺りのことなんだが。言ってみればジャブ無視のいきなりデンプシーロール、みたいな。まぁそのセリフの前後状況がまったく見えないのはイントロ的にどうなのよな感じもしましたが。

 全般的なノリはモリタイシを思い出しますねー。主人公の取るリアクションとかいでじゅう! にありそう。いでじゅう! 好きとしてはこういうリアクションに心温められたりします。ただなぁ……肝心要の舞台設定であるところの「夏美の部屋」が、いまいち把握しづらい。恐らく「見たまんまの部屋」と言う感じで描いてるんだろうが、頭のほうで主人公が(俺がいでじゅう! っぽいと感じたような)オーバーなリアクション取ってるせいで心理描写のように見えてしまうのよね。特に短編漫画の場合一こま一こまにおける情報って重要だと思うし、まぁむしろその辺を逆手に取ったチャレンジって感じもしなくはないんだけれども、ちょっと現状では手に余っちゃってるかなーという気もしなくはなく。

 個人的な感想を言わせてもらえば一ページ目の友人らのセリフにまとめられます。「主人公うぜえ」。せめてそのうざさが夏美の料理を食いたいと思うような点に直結してくれてたら印象も違ったんだろうけど、その辺のつながりが弱いからなー。その辺もあってちょっとちぐはぐさを感じてしまいましたん。ともあれラストページのアホさは大好きです。